松本 浅間温泉 ホテル玉之湯

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2025年11月19日
新型コロナに翻弄された時代から6年

2020年発券のGoToトラベル代理クーポンの廃棄作業をしながら思うこと

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大とともに日本の観光業は大きく揺れ動きました。
先日、当館に保管されていた GoToトラベル事業の代理発券クーポン(2020年発券分) について、保管期限が過ぎたため、順次シュレッダー処理を行いました。紙を裁断する軽快な音を聞きながら、あの混乱の時代からすでに6年という年月が流れたことに驚かされます。

クーポンを廃棄しながら、ふと当時の情景が鮮明に蘇りました。
突然の休館、一方で連日の制度変更への対応、キャンセルの嵐、電話が鳴り止まない日…。
あの頃、私たち宿泊業界は先の見えないトンネルの中で、それでも「お客様を安心して迎える宿でありたい」と踏ん張り続けました。

そして6年が経った今、旅行のスタイルも、宿泊業の在り方も、大きく変わりました。
ここでは、玉之湯で日々お客様と接してきた立場から、この6年で特に強く実感している変化について、いくつかお話ししたいと思います。


団体旅行が「ほぼなくなった」という現実

まず真っ先に実感するのは、団体旅行の激減です。
コロナ前は、企業の慰安旅行、学校関係の行事、地域団体の親睦旅行など、数十名規模のお客様が年間を通して訪れていました。宴会場に鳴り響く笑い声や、夕食会場のにぎわいは、旅館の“風物詩”のような存在でした。

しかし、現在は状況が一変しています。

  • 組織活動のオンライン化
  • 遠距離移動を伴う団体イベントの削減
  • 社会全体の「会食リスク」への慎重姿勢
  • 労働時間管理の厳格化に伴う“旅行の平日開催”の難しさ

こうした要因が折り重なり、団体旅行は壊滅的に減少しました。
たとえ規模が小さくなったとしても、かつてのような「大広間に100名で宴会」という光景は、現場感覚としてもすでに遠いものになっています。

旅館としては寂しさも感じますが、一方で “小さな旅の時代”へと軸足を移す転換期なのだとも強く感じます。


「家族で旅館に集まる」という需要が増えた

団体が減った一方で、ここ数年で著しく増えたのが
“家族単位でゆったり過ごす旅” です。

三世代旅行や、帰省代わりの家族時間、兄弟家族が集まる会食旅など、
「家族のために旅館を使う」というニーズが明確に増えています。

理由としては、

  • コロナで“家族の時間”の価値が見直された
  • 年配の方の外出に配慮し、宿の安心感が求められる
  • 個室食や貸切風呂など「小規模で安心して過ごせる空間」が評価される
  • SNSや口コミで“家族に優しい宿選び”が進んだ

などが挙げられます。

当館はもともと「家族のだんらん」を大切にしてきた宿ですが、
ここ数年はその需要がより強まり、
“家族が集まる場所としての旅館” という役割が大きくなったと実感しています。

特に、
・バリアフリー客室の問い合わせ
・車椅子利用のお客様からの相談
・貸切温泉の利用希望
・家族だけで過ごせるスペースの確保
などは、年々増加しています。

旅館という空間が、家族の大切な節目を支える場所として求められていることを、日々のご予約を通して強く感じています。


キャッシュレス決済の急速な普及

~当館では「予約の大半が事前カード決済」に~

この6年間で、最も劇的に変わったと言ってもいいのが 決済方法 です。

2020年前後は、多くの旅館で
「現地での現金精算」が主流でした。
しかし、今では当館でも 予約の大半が事前カード決済

特にオンライン予約サイトからの事前決済比率はものすごい勢いで増え、
宿のフロント業務は大幅に効率化されました。

  • チェックイン時の精算作業が減り、スムーズにご案内できる
  • フロントでの“現金の受け渡し”が減り、感染対策にもつながった
  • 顧客情報の正確性が高まり、予約時点でコミュニケーションが取りやすい
  • 予約=利用との意識が根付いた

事前カード決済が一般化したことで、
旅館側もお客様も ストレスのない滞在前・滞在後の動線 が整い、
宿泊の時間そのものに集中できるようになったと感じています。


「従業員の労働時間短縮」は避けて通れない課題に

観光需要が回復する一方で、
旅館にとって年々重くのしかかるのが 人手不足と働き方改革 です。

  • 深夜まで長時間働く
  • 休みが取りにくい
  • シーズン繁忙期は異常な状態

いわゆる“旅館の働き方”は、かつてのままでは成り立たなくなりました。

当館では、
・シフトの見直し
・館内オペレーションの簡素化
・デジタル導入による負担軽減
・献立や提供手順の標準化
・清掃や夜間業務の効率化
などを少しずつ進め、
スタッフが無理なく働ける環境づくりを進めています。

コロナで痛感したのは、
「旅館を支えるのは、そこに働く人の健康と生活」
という、当たり前でありながら最も重要なことでした。

これからの旅館業は、
“人のぬくもりを残しながら、負担は減らしていく”
そんな働き方への変革が欠かせないと感じています。


ユーザーの「キャンセル」に対する意識の変化

~“無断キャンセル事件”が与えた影響~

以前は、旅館にとって「突然のキャンセル」「当日の無断キャンセル」は大きな悩みの種でした。
ところがこの数年、明らかに お客様の意識に変化 が見られます。

特に某温泉地で起きた「無断キャンセル大量発生事件」が報道されたことで、
“宿泊業のキャンセル問題” が社会的に注目されました。

その結果、

  • キャンセルルールを事前に確認してくださるお客様が増えた
  • 体調不良などやむを得ない場合でも早めに連絡をいただける
  • 「迷惑をかけてしまうのでは」と気遣う声が増えた
  • 当日キャンセルの理由説明が丁寧になった
  • キャンセル料の支払いをお客様の方から求められるようになった

など、旅館側が驚くほどの変化がありました。

旅館としても、
お互いが気持ちよくやり取りできる関係 が広がっていることを実感しています。


6年を振り返り、そしてこれから

2020年のクーポンをシュレッダーにかけながら、
あの頃の不安や混乱、そしてそこから立ち上がってきた業界の姿が頭をよぎりました。

観光業は「人が移動し、人が出会い、人が笑う」ことで成り立つ産業です。
だからこそ、社会情勢の影響を強く受けるのは避けられません。

しかし、この6年を通して思うのは、
旅をする人の“心の本質”は変わらない
ということです。

  • 家族とゆっくり過ごしたい
  • 美味しいものを味わいたい
  • 温泉で癒やされたい
  • 日常を離れてリセットしたい

旅館はこれからも、その願いに寄り添う場所であり続けたいと思っています。

当館も、変わるものと変わらないものをしっかり見極めながら、
これからの時代に向けて歩み続けてまいります。

ホテル玉之湯 内藤幸宏より



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