近年、「サステナビリティ(持続可能性)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
しかし実は、この言葉が意味するところは“環境を大切にする”ということだけではありません。
サステナビリティとは、人・社会・自然、そしてまだ生まれていない未来の世代までを含めた“よい未来を守るための責任”を表す言葉です。
それは環境保全だけでなく、地域社会への貢献、働く人の幸福、文化の継承といった、より広い視点を必要とします。
そして、サステナビリティの根底にはもうひとつ大切な概念があります。
それが「倫理」──正しいことを選び続けるための、社会のルールや考え方です。
昭和の価値観と私たちが歩んできた道
昭和の時代、日本が大きく発展していく中で、持続可能性は「経済の拡大ループ」とほぼ同義でした。
大量生産・大量消費が善とされ、「物を買うこと」そのものが社会への最大の貢献であると信じられていました。
また、企業文化においては「上司の指示は絶対」という考えが強く、
従わなければ脇道へ追いやられ、退職を余儀なくされてしまうこともありました。そこから発生したのが、組織的隠蔽や「飛ばし」と呼ばれる会計の操作です。
今の感覚から見ると、それが“倫理的”だったのかどうかは、振り返って考えさせられます。私の感覚からすれば、こどもたちの「いじめ」問題もこのような社会的構造からきているのではないかと思います。
当時は、今のようにリサイクルのために費用をかけるという発想はほとんどなく、
使い捨てが当たり前。社会全体が「経済を成長させ続けること」を最優先にしていた時代でした。
価値観の転換──広がる“よい未来を選ぶ”という視点
現在、私たちは大きな価値観の転換点に立っています。
環境負荷の低減や資源の循環はもちろん、働き方や地域とのつながり、
お客様の体験価値など、“全てが持続可能であること”が求められる時代になりました。
そしてその実現のためには、誰かの犠牲によって成り立つ仕組みではなく、
すべての人が尊重され、自然と共生し、未来の世代にも豊かさを残せる社会が必要です。
それを支えるのが、「倫理」──正しい選択を積み重ねる姿勢です。
ホテル玉之湯が大切にしていること
私たち玉之湯も、長く浅間温泉で宿を営んでいく中で、
さまざまな時代の価値観の変化を肌で感じてきました。
そして今、私たちが大切にしたい思いは次の3つです。
環境への責任
・再生可能エネルギーの活用
・食品ロス削減への取り組み
・地元食材の積極的な活用
・廃棄物の分別とリサイクル
目には見えづらい取り組みも、未来への確かな投資だと考えています。
働く人の幸福と尊重
昭和のような“絶対的従属”ではなく、
お互いを尊重し、意見が言える、そして成長できる職場をつくること。
それはお客様への心のこもったおもてなしへとつながることでしょう。
地域とともに歩むこと
松本・浅間温泉という地域の文化を守り、
観光を通じて地域に貢献することもサステナブルなアクションのひとつです。
未来へ──小さな宿としてできること
私たちの取り組みは、大企業のように大きくはありません。
しかし、「正しいことを選ぶ」という倫理観を持ち続けることこそが、
持続可能な社会をつくる第一歩であると信じています。
“未来の世代にとって誇れる温泉地でありたい”
“地域の豊かさを継承したい”
“訪れた方々が心から安らげる場所を守りたい”
かつては「こうだった」「私はこのようにやってきた」という価値観だけでは、もう前に進めない時代になりました。
過去の成功体験や慣習にとらわれず、時代に合った“正しい選択”を積み重ねていくことが、これからの企業・社会の大きな責任です。
サステナビリティも倫理も、一見すると難しいテーマに見えます。
しかし、だからこそ私たちは真剣に取り組む必要があります。
未来の世代に恥じないように、そして地域の豊かさを次の時代へ渡すためにも、
玉之湯は、これからも小さな一歩を積み重ね、持続可能で誠実な宿でありたいものです。
ホテル玉之湯 内藤幸宏より


2025年12月3日
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