松本 浅間温泉 ホテル玉之湯

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2025年9月26日
サステナブル経営の歩みとこれからの宿泊産業の使命

サステナブル経営の歩みとこれからの宿泊産業の使命

――ホテル玉之湯の視点から――

はじめに

昨年、私は「サステナ経営検定2級」を受験し、無事に合格いたしました。勉強中は慣れない専門用語や広範な知識に四苦八苦し、テキストもマーカーや付箋でいっぱいになり、今思い返しても「戦いの跡」と言えるほど使い込んだ教材が手元に残っています。その「ボロボロ感」を懐かしく感じると同時に、学んだ知識が果たして十分に現場で活かされているのか?と自分に問うと、胸を張って「はい」と言えるかどうか、まだ迷う部分も正直にあります。

しかしながら、この学びは間違いなく当館にとっても、私自身にとっても、大切な転換点になりました。今回は、この一年を振り返りながら、「宿泊産業とサステナブル経営」というテーマで考えを整理し、皆さまと共有したいと思います。


サステナブル経営検定で学んだこと

サステナ経営検定2級の学習内容は、決して一過性の知識ではありません。CSRの国際規格である ISO26000 をはじめ、ESG(環境・社会・ガバナンス)、そして SDGs(持続可能な開発目標) といった国際的な共通言語を学ぶことができました。これらはすべて、「企業が社会課題の解決にどう向き合うか」という問いに直結しています。

検定の目標は、単に暗記して試験を通過することではなく、

  • 企業の経営に持続可能性をどう組み込むか
  • 社会課題を起点に新しい事業をどう創り出すか
  • NPOや地域団体とどう協働していくか
    を理解し、実践できる力を養うことにあります。

つまり「経営のリテラシー」を、これまでの利益追求型から「持続可能性重視型」へとシフトさせること。その意義は大きいと改めて感じています。


宿泊業に迫る課題とサステナブル経営の必要性

1. 大量消費からの脱却

観光業や宿泊業は、これまで「たくさんのお客様に来ていただき、たくさん消費していただく」というモデルに依存してきました。しかし、この大量消費型のビジネスモデルは限界を迎えつつあります。廃棄物の増加、エネルギー使用量の拡大、自然環境への負荷…。その負の側面は見逃せません。

サステナブル経営とは、こうした「量的成長の限界」を認めたうえで、質的価値を高めていく営みだと考えます。

2. 日本の人口減少と旅行需要の変化

さらに現実として、日本の人口は減少局面に入っています。とりわけ若年層の人口が減ることで、今後国内旅行需要の「数的増加」を望むことは難しいでしょう。だからこそ、これからは「どれだけ多く売るか」ではなく、「どれだけ深く満足していただくか」が問われます。

宿泊体験の質を高め、地域文化や自然とのつながりを大切にし、持続可能なサービスを提供する。その積み重ねが、お客様に選ばれ続ける宿につながるのです。

3. 企業倫理としてのサステナブル

サステナブル経営は「ブーム」や「流行」ではありません。企業が社会に存在し続けるための 倫理的責任 です。環境保全、労働環境改善、人権尊重――これらはすべて企業の存続基盤であり、利益追求と両立させるべきテーマです。

特に宿泊産業は「人をもてなす仕事」です。お客様に心地よい時間を提供するためには、従業員が安心して働ける環境や、多様性が尊重される文化が欠かせません。


ハラスメント問題とサステナブル経営の接点

ここで一見すると「環境問題」とは離れているように見えるテーマを挙げます。それが ハラスメント問題 です。

職場におけるハラスメントは、従業員の尊厳を傷つけるだけでなく、組織全体の健全性を大きく損ないます。パワハラやセクハラはもちろん、外国人労働者や障害を持つ方に対する差別的な言動も含め、人権を侵害する行為は決して許されません。

サステナブル経営の中核には「人権の尊重」があります。つまり、ハラスメントをなくし、誰もが安心して働ける職場をつくることは、サステナブル経営そのものなのです。

当館でも、こうした課題意識を共有し、日々の業務の中で「互いを尊重し合う文化」を育んでいく努力を続けています。


当館の取り組みと今後の展望

1. 再生可能エネルギーの活用

ホテル玉之湯では、中部電力が提供する再生可能エネルギープログラムに参加し、CO₂削減や脱炭素社会への貢献を進めています。小さな一歩かもしれませんが、宿泊業が果たすべき責任の一端を担えると信じています。

2. バリアフリー推進

近年はバリアフリー対応客室や貸切露天風呂を整備し、車椅子利用のお客様や高齢の方にも安心してご滞在いただけるよう努めています。これも「すべての人にやさしい宿」を目指すサステナブル経営の一部です。

3. 地域との共生

地元食材を活かした料理提供や、地域文化イベントへの協力も、サステナブルな地域づくりに欠かせません。観光地としての松本・浅間温泉が持続的に発展するために、地域全体での連携を大切にしています。


停滞を恐れず、歩みを止めないために

サステナブル経営の道は、正直に言えば「正解のない挑戦」です。取り組みが停滞することへの不安もありますし、日々の業務に追われる中で「どこまで実行できているのか」と自問する瞬間も多々あります。

それでも大切なのは「完璧でなくても続けること」です。持続可能性とは、一気に達成するものではなく、時間をかけて積み重ねていくものだからです。


終わりに

旅行や宿泊産業は今、量から質への転換期にあります。私たちが提供する体験そのものが、環境や人権を尊重した「サステナブル」でなければ、未来のお客様に選ばれることはないでしょう。

サステナブル経営は義務であると同時に、私たちが誇りを持って取り組むべき「宿の使命」です。ホテル玉之湯では、これからも一歩ずつ歩みを重ね、持続可能な未来をつくる仲間を増やしていきたいと思います。

ホテル玉之湯 内藤幸宏より



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