──プロンプトからコンテキストへ、AIの新しい潮流を感じて──
最近、私たち旅館業界にも「AI活用」という言葉が日常的に聞こえてくるようになりました。予約管理、顧客対応、収益分析、そしてマーケティング──これらを支えるツールの中には、すでにAIが当たり前のように組み込まれています。
そんな折、先日「プロンプトエンジニアリングからコンテキストエンジニアリングへ」というオンラインセミナーを受講しました。
内容は、今まさにAIが次のステージに進もうとしているというもので、非常に刺激的でした。
■ プロンプトからコンテキストへ
これまでAIを扱う上で重要視されてきたのは、「プロンプトエンジニアリング」でした。
つまり、“AIにどう指示を出すか”という技術です。
「この文章を英訳して」「このテキストデータから〇〇に関連したものを抽出して」といった明確な命令をAIに与えることで、私たちは成果物を得てきました。
しかし、セミナーで語られていたのは、さらにその先にある「コンテキストエンジニアリング」という新しい考え方でした。
プロンプトが“指示”であるのに対し、コンテキストは“文脈”です。
AIに対して単に命令するのではなく、「なぜそれを行うのか」「どういう背景で、どんな目的で求めているのか」という前提情報を与えることで、AIがより深く理解し、自律的に判断・行動できるようにする考え方です。
■ 生成AIからAIエージェントへ
もうひとつ、セミナーで印象的だったのが、「生成AIの次に来るのはAIエージェント」という話でした。
これまでのAIは、あくまで人が質問したり命令したりして動く“受け身の存在”でした。
私たちがプロンプトを入力しない限り、AIは何もできません。
しかし、AIエージェントは違います。
AI自身が“目的”を理解し、複数のステップを経てタスクを自動的に進めることができるのです。
セミナーでは「manus(マヌス)」という自立型AIエージェントの実例が紹介されました。
このシステムは、複数の言語モデル(LLM)を組み合わせ、他のシステムとも連携しながら、まるで“人のように”プロジェクトを進めることができます。
例えば、企業のマーケティングチームがmanusを使うと──
- キャンペーンの目的を伝える
- manusが過去のデータを分析
- コンテンツ案や画像案を自動生成
- さらにSNS投稿スケジュールまで作成
といった作業が、なんと数分で完了してしまうそうです。
これまで人が1カ月かけて行っていたような業務を、AIがわずか5分で完了に近づけるというのです。
正直、セミナー中に思わず声が出ました。
「ここまでやるのか!」と。
■ コンテキストが鍵になる時代
では、AIエージェントを上手く活用するには何が必要なのでしょうか?
講師の言葉で印象的だったのが、次の一節です。
「AIエージェントを上手く動かすためには、プロンプトではなく“コンテキスト”を与えなさい。」
つまり、AIに単に命令するのではなく、「背景・目的・制約・評価軸」をきちんと文脈として設定することが大切なのです。
そして、AIエージェントはそのコンテキストをもとに、複数のツールを連携させ、自律的に判断していく。
それが、これからのAIの進化の方向なのです。
■ 衝撃の未来
セミナーの終盤では、いくつかのデモンストレーションも紹介されました。
例えば、ある企業ではAIエージェントが人間の代わりに資料を作成し、次のような流れで進めていました。
- テーマを与える(例:「次期商品の販売促進計画」)
- AIエージェントが社内データベースから必要な数値を自動取得
- 過去の販売実績・市場トレンドを分析
- 提案書を自動作成し、デザインテンプレートに落とし込む
そして、最終的に「こちらが提出可能なドラフト案です」とAIが自分でまとめ上げるのです。
人がやっていた「調査→分析→構成→文案→資料作成」という一連の流れを、AIが“自ら”完結してしまう。
それを見て、私は強い衝撃を受けました。
「もう、“使うAI”から“共に働くAI”の時代に入っているのだ」と。
今回のセミナーを通じて、私はAIの進化を「人の代替」ではなく「人を解放する存在」として感じました。
AIが単純作業を担うことで、人はより“人にしかできないこと”に集中できるようになる。
旅館のおもてなしも同じです。
AIが文章を作り、データを整理し、予約を最適化してくれることで、私たちはより深くお客様と向き合う時間を持てるようになる。
それが「生成AIからAIエージェントへ」という流れの、本当の価値なのだと思います。
これからもホテル玉之湯では、伝統のおもてなしを大切にしながら、最先端のテクノロジーを柔軟に取り入れ、お客様にとって“心に残る時間”をお届けできればいいなぁと考えております。
ホテル玉之湯 内藤幸宏より


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