
先日、松本市博物館で開催されている「さくらももこ展」を訪れてきました。
『ちびまる子ちゃん』や『コジコジ』など、多くの人に愛され続ける作品を生み出した漫画家・エッセイストのさくらももこさん。その世界観に触れられる貴重な企画展ということで、とても楽しみにしていました。
会場へ足を踏み入れると、子どもから大人まで幅広い世代のお客様で賑わっていました。まる子たちの明るく温かな世界は、何十年経った今でも色あせることなく、多くの人の心を惹きつけているのだと改めて感じます。
私自身、愛知県の出身で、さくらももこさんの故郷である静岡県とはお隣同士。そして年齢も一つ違いということもあり、『ちびまる子ちゃん』に描かれる昭和の学校生活や家庭の風景、町並み、子どもたちの遊び、テレビ番組や流行など、その一つひとつに「ああ、そうだった」「こんな毎日を過ごしていたな」と自然に共感することができました。
東海地方で育った私たちにとって、作品の中に描かれる空気感は決して特別なものではなく、まさに自分たちが過ごしてきた日常そのものです。
教室での何気ない出来事。
友達とのたわいない会話。
家族とのやり取り。
近所の人との触れ合い。
どれも決して派手な出来事ではありません。しかし、その何気ない日常を、思わず笑ってしまうようなエピソードへと変えてしまうのが、さくらももこさんの素晴らしい才能だったのだと思います。
今回の展示では、貴重な原画や直筆原稿、制作資料なども数多く展示されていました。
印刷された漫画では分からない、一本一本丁寧に描かれた線や修正の跡、手書きの文字からは、作品が生まれるまでの過程や、作者の息づかいまでも感じられるようでした。
特に印象的だったのは、原画から伝わってくる繊細な表現力です。
シンプルに見える線にも驚くほどの表情があり、人物たちの感情が自然と伝わってきます。
普段何気なく読んでいた作品が、実は非常に計算された構図や演出によって描かれていることを知り、改めて漫画という表現の奥深さを感じました。
展示を見ながら何度も笑ってしまう場面がありました。
「ああ、この話が好きだった。」
「この場面、家族でテレビを見ながら笑ったな。」
そんな思い出が次々によみがえり、作品を鑑賞しているというより、自分自身の子ども時代を振り返る時間になっていたように思います。
私たちの世代には、今も第一線で活躍されている漫画家や作家、音楽家、俳優の方が数多くいらっしゃいます。
だからこそ、2018年にさくらももこさんが亡くなられたという知らせを聞いた時は、本当に大きな衝撃を受けました。
「えっ、まだ若いのに。」
そんな気持ちと同時に、
「ついに自分たちも、そういう年代になったのか…」
という現実を強く意識した出来事でもありました。
誰もが年齢を重ね、時代も移り変わっていく。
それでも作品だけは世代を超えて残り、新しい読者にも笑顔を届け続けています。
今回の展示を見ながら、ふと考えました。
もし、さくらももこさんが今もご健在だったなら、令和という時代をどのような視点で描いていたのでしょうか。
スマートフォンやSNSが当たり前となり、子どもたちの遊び方も、学校生活も、家族の形も大きく変わりました。
一方で、人が誰かを思いやる気持ちや、家族との何気ない会話、友人との小さな出来事に笑ったり悩んだりする姿は、昔も今も変わらないのではないでしょうか。
きっと、そんな現代の日常も、さくらももこさんなら優しく、時には少し皮肉を交えながら、それでいて温かく描いてくれたのではないかと思います。
そう考えると、改めて惜しい才能を失ったのだと感じずにはいられませんでした。
展示を見終えて博物館を後にした時、胸の中には笑いと懐かしさ、そして少しの切なさが残っていました。
それは決して悲しい気持ちではなく、「あの時代を生きてきてよかった」と思えるような、どこか温かな余韻でした。
現在開催中の「さくらももこ展」は、世代によって感じ方が違う、とても魅力的な企画展です。
『ちびまる子ちゃん』をリアルタイムで見て育った世代の方はもちろん、お子様やお孫さんと一緒に訪れても、それぞれ違った楽しみ方ができると思います。
ホテル玉之湯から松本市博物館まではお車で約15分ほど。
松本城にも近く、城下町の散策や中町通り・縄手通りでの街歩きと合わせてお楽しみいただくのもおすすめです。
松本観光の合間に、昭和の懐かしさと優しい笑いに触れられるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
旅先で出会う景色や文化はもちろんですが、一つの作品を通して、自分自身の思い出と再会する旅もまた、とても豊かな時間になるものです。
松本へお越しの際は、ぜひ松本市博物館にも足を運び、さくらももこさんが描いた温かな世界を体感してみてください。
ホテル玉之湯 内藤幸宏より


2026年7月26日
松本市博物館で「さくらももこ展」を鑑賞してきました ~笑いと懐かしさに包まれる特別な時間~

2026年5月12日

2026年3月31日
持続可能なおもてなしとは何か――心に残った一冊から考える玉之湯のサービス

2026年1月27日

2026年1月14日

- 2026年7月 (1)
- 2026年5月 (1)
- 2026年3月 (1)
- 2026年1月 (2)
- 2025年12月 (5)
- 2025年11月 (5)
- 2025年10月 (10)
- 2025年9月 (3)
- 2025年7月 (3)
- 2025年6月 (7)
- 2025年5月 (26)
- 2025年4月 (26)
- 2025年3月 (12)
- 2025年2月 (2)
- 2025年1月 (7)
- 2024年12月 (1)
- 2024年9月 (1)
- 2024年5月 (1)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (1)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (8)
- 2023年9月 (7)
- 2023年5月 (1)
- 2023年2月 (1)
- 2023年1月 (2)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (1)
- 2022年4月 (3)
- 2022年3月 (7)
- 2022年2月 (8)
- 2022年1月 (13)
- 2021年12月 (30)
- 2021年11月 (5)
- 2021年6月 (1)
- 2021年4月 (2)
- 2021年1月 (1)
- 2020年10月 (1)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (2)
- 2020年6月 (4)
- 2020年5月 (1)
- 2020年4月 (4)
- 2020年3月 (20)
- 2019年7月 (1)
- 2019年6月 (1)
- 2019年5月 (4)
- 2019年4月 (6)
- 2019年3月 (5)
- 2019年2月 (5)
- 2018年11月 (1)
- 2018年5月 (1)
- 2018年4月 (1)
- 2018年3月 (5)
- 2018年1月 (1)
- 2017年7月 (1)
- 2017年6月 (5)
- 2017年3月 (2)
- 2017年1月 (6)
- 2016年4月 (2)
- 2016年3月 (1)
- 2016年2月 (1)
- 2016年1月 (1)
- 2015年12月 (1)
- 2015年11月 (1)
- 2015年10月 (1)
- 2015年9月 (4)
- 2015年8月 (1)
- 2015年4月 (2)
- 2015年2月 (3)
- 2015年1月 (3)
- 2014年12月 (16)
- 2014年11月 (26)
- 2014年7月 (1)
- 2012年11月 (2)
- 2010年12月 (1)
- 2010年11月 (4)
- 2009年12月 (16)
- 2009年11月 (11)
- 2008年12月 (20)
- 2008年11月 (10)
- 2007年12月 (11)
- 2006年12月 (16)
- 2006年7月 (1)
- 2006年4月 (14)
- 201年11月 (1)












































